敵意
子どもたちが運動会の代休だった月曜日の午前中、近所の市民プールに行った。
平日の午前中だけあって、利用者はほとんどが高齢者と子どもが大きくなった後の専業主婦と思しき人。この時点で「場所の選択間違ったかも…」という気はしたのだけど、せっかく来たのだから泳ぐことにした。
そのプールは「歩く人専用コース×1」「真剣に泳ぐ人コース×1」「配慮が必要な人コース(障害がある人など)×1」が設置されていて、それ以外は自由に泳いで良いようになっている。
うちの子どもたちはスイミングを長年習っており、4泳法をマスターしている。彼らは早速「それ以外コース」でスイスイ泳ぎはじめ、私は子どもたちの横のコースで5mほど泳いでは歩き、また歩き、というような感じで子どもたちを見守っていた。
しばらくすると、私と同じコースを私と同じようにのんびり歩き泳ぎしていた一人の高齢男性が何かを言ってきた。よく分からないけれど「子どもたちをどうにかしろ」ということらしい。
子どもがいる人なら多かれ少なかれそうだと思うけど、私も子どもについて何か苦情を言われると条件反射的に謝る癖がついている。なので「すみません」と言って、子どもたちをどうにかしようと思ったのだけど、どうもこうも、子どもたちはただ泳いでいるだけで、奇声をあげているわけでもないし、その場にふさわしくないような遊び(?)をしているわけでもない。ましてや、人が少なく、我が子以外には誰も泳いでいない閑散としたコース。迷惑をかけようにもかけようがない。
聞き間違いだったかなぁ?と思ってまた泳ぎ始めると、さっきの人がまた私のところに来て、今度はハッキリと「子どもをどうにかしろ」と言う。
今度はこちらにも心の余裕があったので聞いてみた。
私「すみませんが、よく意味がわからなくて。具体的にどうしたらいいか教えていただけますか?」
男「水がはねて顔にかかるだろう!」
私「ここ、プールですよね・・・泳いでいる人の横を歩いていたら水くらいかかるものじゃないですか?」
男「もにょもにょ(←聞き取れなかった)ともかくここは子どもが来る場所じゃない!」
(以下、心の中)
いやいや、ここ、500円払って誰でもはいれる市民プールですよ(笑)
それに、子どもたちは普通に泳いでます。
もし迷惑だっていうなら、「歩くコース」のど真ん中を横にふさいでバタ足の練習をしているあの女性とか、「事情のある人コース」でさっきから華麗に泳ぎまくってるあの男性とかのほうが迷惑じゃありませんこと
ていうか、この人は自分のテリトリーを害されている事に怒っているのだな。
たった500円で誰でもはいれる市民プールにテリトリーも何もあったものじゃないけど、いつも自分が使っている所に子どもという異分子が入りこんだから腹立たしいのだろう。
(心の声ここまで)
子どもに何か危害を加えられたら嫌だし、気分悪いから帰ろうかなと思っていたら、「今日はけしからん日だ!」みたいな 捨て台詞を吐いて、先方から先に帰ってくれた。ほっ。
なんだろ、高級レストランでも会員制スポーツクラブでも神聖な祈りの場でもなんでもないのに、しかも具体的に何か迷惑をかけられたわけでもないのに、子どもがいるってだけでそんなに腹が立つのかな。そんなふうに毎日生活してて疲れないのかしら。
ある市民プールでたまたまある高齢男性が偏狭な人だった、ってだけで一般化しちゃいけない話なんだけど、子どもが、子どもだってだけで敵意のある目で見られる社会はしんどいなと思ったりしたのでした。